「リベラルアーツ型」授業の実践①

数年前までは、「アクティブラーニング」という学習方法を、よく耳にしたが、最近ではすっかり聞かなくなってしまった。その理由はシンプルで、「アクティブラーニング」というのは、「学び方のスタイル」であり、教育の本質をとらえたものではなかったからであると理解している。グループになって、意見交換をして、プレゼンをして…など、そのスタイルが重視されていたし、プレゼンテーションの授業見学が「アクティブラーニング授業です…」というのを多数見て来た。中には、研究会や学会まで立ち上げて…というのも目の当たりにしてきたが、「授業のスキル」と「学びの本質」との理解の違いに、違和感を持ち続けていた。

その後、「探究型学習」という学習方法が主流となり、こちらの方が「学びの本質」をとらえているし、IB(国際バカロレア)の主軸にもなっているので、学習者にとっては意味のある学び方のように感じている。しかし、「探究型学習」では、テーマ設定やトリガークエスチョンの難しさがあり、教員の知識や能力、運営の力量が問われ、全ての教員ができる力量にないのも事実である。

そのような中で、さらに「学びの本質」に目を向けて考えてみると、「実社会で必要な知識と教養をつける」のを「学びの目的」と仮定するのなら、単独の教科や知識だけでは、「実社会の最適解」を探究するのが難しいことに突き当たる。それゆえ、「実社会の最適解を考えて行動できる」学びを目指せば、「教科を超えること」「真理を探究すること」は不可避のようだ。

そこで、本校では学ぶ目的を「ジブンとマワリをシアワセな状態にし、ダレカのために行動できる」学習者になれるように設定し、そのために「教科を超えた学び」「実社会に結びつく学び」として、「リベラルアーツ」型の授業という学び方を実践している。

例えば、神田女学園では、「リベラルアーツ」型授業の一つとして、

【テーマ】現代文B「技術の正体」(木田元)

【学び方】教科書掲載部分を学習したのち、原本を熟読する。原本には、教科書掲載部分の前書きがあり、その部分を「輪読」形式で相互理解を深め、自分なりの意見を出し合いながら解釈を高めあい、その中で必要な知識(情報・工学・化学)を相互に補いながら、論文にまとめたうえで、「相手を説得する」ことを目的として、個人プレゼンテーションを行う。

【留意点】原本は、英訳されていたもののため、英語が得意な生徒は、英語の原本を手掛かりに内容を把握していくこと。

【発展】筆者が影響を受けた哲学者が何人も登場してきたため、哲学者の思想を理解する必要がある。また哲学者の思想の一端に触れたプレゼンテーションも可。

などである。現代文の授業であるが、理系的な知識教養、人文科学的な理解力、もちろん読解力や記述力なども必要とされ、総合的な知識獲得や教養の拡大につながった授業となった。このような授業展開を主流にするには、まだ教員も生徒も、知識や経験は未成熟ではあるが、日々の授業の中で意識的に取り入れていくことで大きな成果につながってくると確信している。

「リベラルアーツ」型の授業を実践し続けることは、「探究型学習」のテーマ設定力や教員のファシリテート力、「アクティブラーニング」型の「授業スキル」も求められることになる。それゆえ、「学びの本質」である「リベラルアーツ」型の授業が、今後の「学び方の主流」になるような手ごたえを感じている。

 

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