中学入試 トレンドの変化 ③

数年前から、中学入試のトレンドに多少の変化を感じていた。しかし、ここ2~3年ほどで、その変化は確かなものであると感じている。そのトレンドの変化とは、「別学志向高まり」にシフトしていることである。

そもそも、中学入試の目的にさかのぼれば、難関大学への進学を見据えて、あるいは中高大での学問の継続性や安定性を見据えて、難関進学校や大学附属校を志望するのが始まりだったと考えている。その狭き門をクリアできるように、通塾などを通じて受験生がしのぎを削り、高い目標を目指してきたのである。難関大学へ進学するには、圧倒的な基礎学力となる4科目(国・算・理・社)を学ぶ必要がある。とりわけ難関国公立大学を目指せば当然の事であろう。それゆえ、4科目受験の形式や価値観は、中学受験の原点といっても良いし、私個人も受験生の努力や保護者のオモイをくみ取れば、大切にすべきであると強く感じている。

しかし一方で、御三家に代表されるような難関進学校には定員数もあり、中学受験生が増え、私学への通学ニーズが高まれば、当然、多くの生徒を引き受ける学校が必要となってくる。その時のトレンドが、いわゆる「共学校ブーム」「新興校ブーム」である。もちろん、この当時も別学へのニーズもあったが、それ以上に次世代の教育を目指して、「共学化」や「学校改革」に注力した学校が人気を集めるようになった。ちなみに、神田女学園中学校高等学校 学校長 宗像も、この時期から学校教育に携わり、共学化と学校改革を行った2校とも、現在では大人気校となっている。

そして、5年ほど前からは、2020年度に行われる予定だった大学入試に関する改革や都内の大学定員の厳格化など、「ハード面での変化」に伴い、大学附属校を選択するトレンドが起こり、それが現在まで続いているといえる。実際、大学附属校は大学への進学面だけでなく、系列の大学との共同研究や施設の相互利用なども行われ、学問としての意欲を高めたい受験生や保護者には良い環境であり、この魅力を打ち出している学校の人気は継続するであろう。

現在はどうであろうか?そこには、御三家を中心とした難関校を目指すのか、改革を行っている新興校を目指すのか、学問としての大学附属を目指すのか、という選択の他に、「本人にとって最適な学校環境」を求める保護者層が確実に増えている。子の選択には、目安となる偏差値や合格実績など、いわゆる「過去」の視点だけでなく、教育理念や自己成長実感を得られる環境などの「未来」の視点で学校を選択するというトレンドがある。いわゆる「次世代の本物の教育」を求める層が急増しているといえよう。それゆえ、人間的な成長や、その子らしく成長できる環境として、特に女子生徒の保護者は、「わが娘に最適な環境=女子教育校」を選択する風潮が高まってきている。

女子を持つ多くの保護者は、娘が社会に出たときの「男性社会におけるキャリア形成を目指す高学歴化」や「社会における女性としての役割を担う能力」を身につける旧来型の女子校教育でなく、「女性という個人としての能力を成長させる教育」を求め、それができる環境が「女子教育校」にあると気づいたのである。しかも、多くの女子教育校では、従来から丁寧に女子への教育を行っており、それが再評価されつつあるのは当然のトレンドであろう。神田女学園を希望する受験生の例を挙げるまでもなく、他の女子教育校でも、最近の受験業界でも、別学の教育的効果について再認識され始めている。

このトレンドは、最初に中学受験が注目されたころに似ているともいえる。そこには、我が子の「未来」を見据えて、より良い環境を与えたいという保護者の切実なオモイから始まったことだからだ。当時との違いは、偏差値だけでなく、教育理念でも選択するということだ。しかも、御三家の全てが「別学」であることを踏まえれば、中学受験の原点に戻ったのかもしれない。さらに、公立の中学では十分でないことを私学で補うとすれば、「圧倒的な学力の向上」か、「大学附属の教育」か、「ミッション理念の教育(ほぼ別学)」か、「別学での教育」になる。

それゆえ、多様性がある教育環境、生徒にとっての教育環境を求めるニーズが高まれば、当然「女子教育校」へのトレンドが起こってくるのである。

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