【次世代の学力】知識を活用する学びとは?③

本来であれば、社会の変化とともに「学び方」や「身につける能力」も変わってくるはずである。次世代をイメージして、「学び方」や「学力」の定義は、変化するものであるのが、教育の現場では、いまだ大きな変化が見られない。これは、なぜなのであろうか?

現在は、「探究型の学び」を取り入れることが流行っているが、多くの学校では、その定義やコンセプトなども、いまだ不明瞭であったりする。同様に、以前に取り入れられていた「アクティブラーニング」も、いつの間にか耳にする機会が少なくなってしまっている…。そして、今でも「トークアンドチョーク(板書・筆記式の講義型)」が、学びのほとんどを占めている。

時代や社会の変化に合わせて、「学び方」を変える必要はあるのだが、なぜいまだに「講義型の学び」が主流なのであろうか?それは、「筆記試験として客観的に判定」が出せる「評価」の面が大きいからであろう。「講義型」では、その成果を評価するのに、求めている解答との正誤であるため基準が明確であり、順位もつけやすく、誰が見てもわかりやすい。生徒にとっては、良くも悪くも納得させられる指標であるし、評価者である教員側も、責任を負いにくくて、使いやすい。例えば、これが「アクティブラーニン」での評価になると、授業中の発言やプレゼンなど、「スキル評価」がメインとなり、個々のパフォーマンスに準じた「主観的評価」が必要になってくる。「主観的な評価」は、基準が不明瞭になりやすいし、しかも「スキル評価」は、努力やレベルだけでなく、生来有している「パフォーマンス力(個性)」も加味されるので、「評価」として、基準を作るのも、評価軸を固定するのも難しく、評価が出された生徒を納得させるのも難しく、学校現場では定着しずらかった一因なのかもしれない。

しかし、いずれにしても従来の学びに対する評価は、「結果」に対してである。「得点結果」をもって評価したり、「スキル結果」で評価を定めたりする。「結果」に対する「評価」であるから、公平性や客観性を維持できたのかもしれない。だが、「探究型の学び」を行うとなると、「結果」だけでなく、むしろ「過程」を評価することが求められる。「過程」を評価することになると、「探究を始めた」時から、「成果」を計らなくてはならないし、探究学習のきっかけとなる「問いの設定」まで、振り返る必要が出てくるかもしれない。そして、「探究の成果」が、「どこまで到達しているのか」を示す必要があり、「どんなアプローチをしているのか」も重要な観点となる。これらを総合的に判断する指針が、一般的に言われている「ルーブリック評価」である。

「ルーブリック」を行うためには、単なる到達基準を作るだけでなく、レベル向上の段階や求めているものなどを、事前に、しかも教科や場合によって、課題・単元ごとに示す必要も出てくる。慣れないと非常に煩雑になるため、教育の現場では、浸透していなかった。「結果」による「評価」がメインであれば、わざわざ「ルーブリック評価」を取り入れる必要もない。しかし、「探究型の学び」をする以上は、「ルーブリック評価」は不可欠となる。しかし、一方では先行事例も少なく、唯一といっても良いのが、「国際バカロレア機構(IB)」の評価基準であろう。

それゆえ、次世代の教育に「探究型の学び」が必要であっても、これを客観的に評価する手法が少ないのも事実である。探究型の授業や取り組みを入れたが、それを「評価」に結びつけることができない現状があり、このジレンマを解決する手立てが見つからないので、多くの学校では、「探究型の学び」が行事であったり、体験学習で終わっているのである。

これを解決するのが、「ルーブリック評価」であるが、この評価方法では、事前に到達レベルを示し、そこに届けば加点し、届かない理由を評価者と学習者で共有し、フィードバックをするという仕組みとなるため、事前の準備が煩雑になる。また、「加点式」であるということ、事前に評価の基準が分かるということ、そして共有して次の目標が見えることなど、今までの「結果」で評価を計る手法とは異なるので、戸惑いがあるのも実業である。

「結果」だけではなく、「過程」も含めて評価するというスタイルには、少々戸惑うかもしれないし、本当にそれが可能なのか、疑問に感じられるかもしれない。それを乗り越えたところに「次世代の学力」をつけることができるのである。実際に、大学の総合型選抜でも、この過程を評価するスタイルが入りつつある。2024の大きな入試改革を通じて、今までの「学力」評価は、結果評価から過程評価へ、クライテリア評価からルーブリック評価へとシフトするだろう。

その時に、本当に「次世代の本物の学力」が見えてくるかもしれない。

 

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