「教育課程の変化」と「学び方」・「教え方」の変化①

2022年に入り、高校の現場では、「いよいよ…」という気配を感じるようになってきた。それは、数年ぶりに高校の「教育課程表」(カリキュラム)の大幅な変更を迎える年度だからである。以前より、「日本史」と「世界史」を融合させた「歴史総合」や「現代社会」をアップデートした「公共」など、内容と名称の変更が行われることは周知されてきたし、その準備も進んでいた。教育課程の変更点は多々あるが、ここでは「なぜ大幅な変更が必要なのか」について検討を深めていきたい。

教育課程の変化を一言でいえば、「社会の求める人材」の定義が変わったからに他ならないと考えている。その背景の1つに、PCやITの普及があるのは言うまでもない。誰でも膨大な情報を入手することができ、以前では考えられなかったような作業が即座にできるようになった。物事をたくさん知っている人や量をこなせる人が重宝された時代から、情報を発信できる人や工夫して作業できる人の方が求められるようになってきた。それゆえ、「知識集約型」の学習だけではなく、「知識活用型」の学習が必要となり、教育の手法を変えざるを得なくなってきたのである。その一つの取組みとして、学ぶ内容の変更=教育課程の変更になるのは、自然の流れであろう。

学校現場では、事前に次年度以降使用する教科書や指導する内容などに目を通すことができるのであるが、今までの学びに「実社会との繋がり」がより強く意識された内容であるといえる。学びとは、「教科書を教える」ことでなく、「教科書で教える」ことであるので、今回の教育課程の変更で、劇的な変化が行われるのかどうかといえば、しばらくは状況を見守る必要はあるが、次世代の学びに繋がることは間違いがなさそうである。

それゆえ、学校現場で教えるためには「高い能力」が求められることになりそうである。それは、授業を上手に進める「スキル」でもなく、あらゆる質問に答えられる「知識」でもなく、過去の指導に準じた「経験」でもなく、新しい「能力」なのかもしれない。次世代の学びに変化すれば、当然、指導する方法も、学ぶ方法も変わってくるのである。この変化に関しては、次回に述べていきたい。

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