今だから考える「宿泊を伴う行事」の意義

昨年度からの社会不安の高まりの中で、学校行事にも多くの影響が出ている。中でも中止にせざるを得ないものとして「宿泊を伴う行事」と「海外との交流を伴う行事」があげられる。「海外との交流を伴う行事」は、一般的には「国際交流行事」となるわけだが、本校(神田女学園中学校高等学校)でも、予定していたEUからの留学生の来校が延期となったり、毎年行っていた相互訪問(現地校へ訪問し、その後本校に来校いただく)行事も開催ができなかったりする状況であった。海外との往来ができない物理的な制限がある状況だから仕方がない部分ではあるが、本校にはアジア圏を中心に10校ほどの姉妹校と欧米を中心に教育提携校(DDP留学校)があり、いずれの学校の現地の生徒たちも来校を楽しみにしていたので、大変残念な年度になってしまった。

しかし、相互の現地訪問はできずとも、「相互交流」はできる。それはWebを活用しての相互交流である。以前から現地エージェント等との打ち合わせは行っていたが、それを生徒間同士で行うように工夫した。もちろん、Web授業を普段から行っていたので、生徒たちはスムーズに交流会を行うことができていた。10月中旬には、「韓国語」を学ぶ生徒たちが韓国語で現地校と交流を行っているし、次は中国の現地校と結んで交流する予定である。

また11月には、「トリリンガルDAY」と称して、国内にいるネイティブの学生や社会人と交流する機会を設ける予定である。国内には、多数のネイティブ生活しており、このような状況だからこそ、多くの方々が賛同し協力していただけることになった。もちろん現地に行くことで「学べる」ことは多いが、工夫をすれば貴重な「学び」を得る機会は作れるものであると改めて感じている。

 

一方、「宿泊を伴う行事」に関しては、一見するとハードルが高いようにも感じるが、昨年度の春先(2020年4月の行事)をのぞいて、ほぼ予定通りに実施することができている。多くの学校では、宿泊を伴う行事は中止にしていると聞くが、対策を十分に行い、日ごろの生活習慣を整えておけば十分に実施可能である。実際に現地へ赴いてみたが、訪問先でも日常の生活が行われているし、国内のため生活習慣もほとんど変わらない。罹患リスクは、むしろ都内より低いかもしれない。集団での行動時にも十分に留意すれば、訪問先の生徒たちの集団と変わることはない。本校の生徒たちも、常に留意しながら集団での学校生活を送っているので、クラスターなどに拡大する可能性も低いであろう。

実際に、昨年度10月の修学旅行、今年度4月のオリエンテーション合宿、先週実施した中学3年生の国内フィールドワーク(修学旅行)でも、体調不良者も、その後の罹患者も、現地での罹患も全くなく、生涯に1度の貴重な経験を得て、何事もなく日常に戻っている。むしろ、きちんとした集団での行動が求められ、探究する場所も外部の施設やいつも以上に清潔に保たれているので、例年よりもコンパクトで質の高い修学旅行になった感じさえする。

「宿泊を伴う行事」とは、平常時でもリスクがあるものである。しかし、それでも開催するには、その時、その場所、その時のメンバー、その時のジブン…でしか経験できない「貴重な学びの場」があるからである。現在は、単なる思い出や写真の中の出来事なのであろうが、自己の心身の成長とともに、「ジブンを形成する一部」になっていたことに気が付く日が来るであろう…。名前を思い出せなくとも、内容は違っても、夜通し話した「あの感情」は忘れられないであろう…。学校生活の中にある「学び」、特に「宿泊を伴う行事」での学びは、何事にも代えられないものである。

通常の学校生活を行いながら、文化祭という最大の学校行事を開催し、希望者は海外への留学に出発し、宿泊を伴う行事の開催もできている。もちろん、気を緩めることはできないが、本校ではすでに「日常の学校生活」を取り戻しているともいえる。その環境を作り、提供することが「ガッコウ」の社会的使命である。

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